魔王さま | ほしくず堂 | 工房ブログ

魔王さま

2015-02-20
  
  
「彼は、焦がれる想いを持ちながら、言葉を持てぬ詩人である」
 
   
これは「星くずの魔法使い」で魔王さまを表した、友の領主の言葉。
前作の主人公である彼、魔王は「誰からも覚えられない生き物」として生まれました。
  
名前も記憶も、人のつながりも持てない孤児。
 
それは、魔法が文化として制度が設けられる世界で、魔法が使えない事を示します。
しかし、彼は世界最高の魔法使い「賢者」に救われ、あこがれてしまった。
 
「せんせいみたいな、けんじゃに、ボクもなりたい」
 
それが彼の物語の始まりでした。
魔王の友は続けます。
 
 
2015-02-20-02
 
   
「その姿は道化のそれ」だ。

魔法使いに憧れた、魔法の使えない生き物。
彼は、同じ身の上の者達のため、そして自分のために
 
 
「魔法そのものを作る」事を、目指しました。
 
 
しかし、その夢は叶うも奪われ、
追いすがる程に、彼と周囲の人々を不幸にしました。
 
奪われた魔法は、世界中に広まり。
補助具を通して、誰もが恩恵に授かる。
 
 
しかし、彼の名前は歴史に残ることもなく。

ついには、憧れである「賢者」に、その名前を受け継がされ。
 
 
何もかもを失いながら、それでも前を向き続けて、抗い続けて。
手足が動かなくなり、倒れこんだ丘の上で、流れ星をみつけ。
 
 
「ああ、俺 “賢者になりたい” ワケじゃ、なかった――」
 
 
と、道を誤ったことに気づき、その命を終えます。

その後、彼は「童話の主」つまり、レイくんと合流します。
彼の魔法は、道具なしで扱えるのは彼ただ一人のみ。
 
 
魔法そのものを生み出した、一世一代の魔導の王。
 
生き物ではなく「魔導の王」という物語の化物、として存在し続けます。

 
  
彼が賢者ではなく、魔王になった理由。
それが、それこそが、彼の最大の研究成果なのです。
 
—-
   
これも勿論、私、レイくんを構成する表裏の一つです。
確かな血を捨て、地力で歩む中、漂うのは自らの力不足。
 
 
しかし、絶望ではありません、湧き上がるのは怒りによく似た情熱なんです。
  
しかし、それそのものを嘲け笑いながら堂々たるのです。
 
 
だから狐、だから道化(道に化けるもの)
だからその体は、木偶(木の骨格)でできている。
 
レイくんと魔王さまは表裏一体、その2つの要素を身体で表しています。

そして彼は物語でも、表にはあまりでてきません。
弟子である「ノイ」に知恵を貸すときのみ、その姿を表します。
 
秘匿される賢しきもの。
 
 
彼はもう、本当は死んでいるからです。